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上沼恵美子は63歳。更年期は一般的に、40代~50歳前後の女性に訪れる。何の症状もなく閉経を迎える人もいるが、40代にさしかかったあたりから頭痛や不眠に悩まされ、原因不明のまま複数の医療機関を受診し苦しむ女性も少なくない。およそ10年にもわたり体の不調が続けば、気持ちも落ち込む。そのつらさが「わけもなくイライラして周囲に当り散らす」といったイメージにつながっているのだろうが、そうしたイメージこそが二重に当事者を苦しめる。
ホルモン補充療法など症状をやわらげる治療方法もあるが、まだ広く浸透しているとは言えないのが現状だ。また、初潮の時期に個人差があり、10歳で初潮を迎える女子もいれば15歳で初めて生理が来た女子もいるように、閉経の時期もまた個人差がある。48歳で閉経する人もいれば、52歳、55歳、そして60歳前後……一概に「何歳で閉経するもの」とは言い切れない。
であるからして、63歳の上沼恵美子が更年期かどうかは部外者にはわからない。ただ、わかる必要もないプライベートな事柄である。問題は、「更年期障害か」という言葉を、他者を貶める侮辱のためのフレーズとして武智が使用したことだ。
上沼恵美子は業界の重鎮であり、特に関西のテレビ、お笑い界において相当な権力を持つことは事実だろう。「だから楯突くな」という話ではない。目上の権力者は批判にさらされるものであり、だからこそその振る舞いには充分気をつけなければいけない。けれど一方で、権力を持つ支配層の人間に対しては、どのような侮辱も許されるということは決してないのだ。
中年~高齢の女性を「オバハン」「ババア」等と侮辱し、そのうえ「更年期か」と揶揄する。そうした醜悪な態度は、たとえその対象に向けて訴えたいことや批判的な意見があるとしても、それを無効にしてしまう。意見があるのならば侮辱ではなく「意見」をきちんと述べてほしい。