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戦死者の数と厭戦気分は
必ずしも比例するわけではない。
「戦死者が増えれば厭戦気分が高まる」というのは
恐らく「ある一線」を越えてからのことだろう。
戦死者が増えれば
国内では遺族会の会員が増えていく。
その数が「ある一線」を越えるまでは
戦死者の増加は
かえって「戦争をやめさせない」力学を
強めることも有りうる。
親族が敵に殺されれば
「もう戦争はやめてほしい」と
遺族が言い出すと思うのは
かなり「おめでたい」発想だ。
「許せない!
誰か、早くかたきをとってくれ!」と
なってしまう方がむしろ「普通」ではないだろうか。
もちろん、
無制限にそうなるわけではない。
どこかで限界は有るのだろうが……。
一たび始めた戦争を終わらせる難しさは
ここに在る。
始めてしまうと中々終わらせられないのが
戦争なのである。