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夕焼け

いつものことだが電車は満員だった。
そして
いつものことだが若者と娘が腰をおろし としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は坐った。

別のとしよりが娘の前に横あいから押されてきた
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席をそのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は坐った。

二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀想に。

娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も

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