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重い鉄の塊──船は浮く。

車も鉄だ。
わずかハガキ4枚の面積で接地しているにすぎない。しかもタイヤという浮き袋まで装備している。

水に浮かばないわけないじゃないか。

50キロ制限という豪雨の高速道路。

中央分離帯に直角に突き刺さっていたスポーツカーは、まさに沈没船だった。

雨という自然の力を見くびり、おのれを過信したバカの成れの果てだった。

傘の一本もなく、事故車の横でずぶ濡れになっていたカップル──破局しただろうな。

どちらが運転してたか知らないが、
早いうちに相手がバカだとわかってよかったじゃないか。
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