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そうならないようにするにはジュラルミンより耐熱性の高い材料を使う必要性があり鉄だとジュラルミンより耐熱性は高いものの重くなってしまいます。
鉄より軽くジュラルミンより耐熱性が高い材料はといえばチタニウムが一番有望だったからでした。
しかし加工には技術力が必要で当時のソ連ではその加工技術が未熟だったため機体が重くなることには目をつぶって手っ取り早く鉄を材料に選んだというのが最終結論でした。
函館に亡命飛行したベレンコ中尉機により真実がわかった時にはソ連は鉄で作った戦闘機をマッハ3のスピードで飛ばしていたのかと世界中が驚きました。
材料代と加工代は安くあがるでしょうが鉄ですからね、鉄ですよ。
いかにもロシア人らしい粗削りで豪快な考え方です。ベレンコ中尉の弁によればMiG-25は高速高性能戦闘機だと信じられていたようだが高空で高速飛行する時以外は飛行特性が悪く特にエンジンが高速専用に作られていたので函館に強行着陸するまでは燃料がもつかきがきではなかったといいます。
このMiG-25高速飛行中は機体が高温になるため冷却用に純度の高いアルコールを搭載していてロシア人パイロットたちの間ではアルコール運搬機とあだ名されていました。
また寒い気候の国ロシアではウォッカが無くなった時はこの冷却用のアルコールを飲んでしまう兵士も居たといわれています。
それからソ連は共産党が一党独裁の国でしたから共産党中央政府の権限が物凄く強くその命令は絶対であり開発指示内容から開発目標達成や開発納期まで守れなかった担当関係者は軒並み処罰(本人含め家族親類まで最悪の場合は身分は剥奪され処刑、そうでなくても何年間も苛酷な強制労働です。それでも死なず生きていた場合は共産主義の再教育という試練が待っていました。今でも同じく共産党一党独裁の北朝鮮では普通に行われています。)が待っていました。
計画失敗や目標未達は処罰されることを意味していました。
だからみんな処罰されるのを恐れ大急ぎで作ることが多くそのためソ連時代のほとんどの戦闘機を含む軍用機は同じ時代の欧米機に比べ曲線部分が極端に少なく直線的デザインばかりでした。
ソ連共産党中央政府の力が衰え始めたソ連時代末期に開発されたMiG-29、Su-27あたりからそのデザインは一変し一気に欧米機と見紛うばかりの曲線部分の多いデザインとなり現在に至っています。
何の分野でも共産党中央政府の命令を守れない者には処罰処罰処罰でしたからベレンコ中尉やその他大勢のロシア人たちが母国を捨ててでも亡命したくなった気持ちもわかると思います。しかし極端にスピードに特化したMiG-25でしたがこのような経緯で開発されただけにスピードだけはピカイチで中東地域上空でイスラエル軍のF-4ファントムⅡにミサイルを発射されたシリア軍のMiG-25はその追って来るミサイルをどんどん引き離し飛び去って逃げ切ったという実話を残しています。
現在のミサイルではミサイル自体のスピードがかなり上がって機動性も極端に上がってますからこんな芸当はもう無理でしょう。
MiG-25の写真を2枚貼ります。