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第2章
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前回、手酷い失敗を受けて
自縛失敗に対する強い恐怖を
トラウマとして植え付けられた私
でもあの失敗は私に忘れえぬ強い快感をも
残していった。
その依存性が強い恐ろしい麻薬は
気付かぬうちに
さらなる窮地へと甘い香りで誘い
罠にかかった獲物を絡めとって
地獄へと追いやる魔性の花に
私の中で着々と大きく育ちつつあった
そして子どもというのは忘れやすいもの
同じ過ちを何度も繰り返し
身を持って学ぶのが愚者の業なのだと
今回も学ぶことに… -
ブログに何気なく書いた、私の
あの日の失敗は一部の視聴者にとても受け
「幼い容姿で思いもよらない
過激な事してて笑wグッジョブ!」
「自縛はのめり込むと、とても気持ちいいが
反面、とてもトラブルに巻き込まれやすい…
程々になw」
などメッセージを貰った。
そんな中、ブログサービス内で知り合った
一人の外国(?)のお姉さんと
とても仲良くなった
お姉さんのHNは「ミグ(Migu)」
※ブログの自動翻訳機能である程度
外国語も通じて、文通できた
※実際に会って会話したらやっぱり
言葉通じないかも??? -
外国の視聴者さんは稀で、そんなに多くなく
言葉も通じないので大抵は2 - 3回の会話で
連絡も途切れる事が多いけど
このお姉さんは日本語がとても上手で
エッチな事にも詳しくて色んな事を
包み隠さず丁寧な対応で教えてくれるので
とても好きになった
海外のボンテージファッションとか
日本より進んだ性の知識やタトゥー
酒場であったという
ちょっと変わった笑える人の写真とか
外国らしいジョークに満ちた
面白おかしい生活に憧れた -
そんなある日、お姉さんから
「私は近く、日本行きます。
その時、親愛なるアヤメにプレゼントしたい」
と申し出があった
仲が良くなったとはいえ
顔も知らない大人の人に初めて会うのは
ちょっと怖くて
だからといって引き籠りがちな私には
一緒に付いて行ってくれる頼れる友人もいない
悩む私に
「私も直接はドキドキです」
「なので会わずに宝探しゲーム準備します」
「指示に従って探してください」
「駅は何処が近いですか?」
と気を使ってもらい
やっとその段取りがついた -
メールとブログ内の掲示板でしか
話した事がないお姉さん
やり取りで得た写真に写る
カメラを持つ手や、お気に入りだという服。
立ち寄ったというお店の窓に反射した
本人らしい首より下の容姿、話し方などで
確かに女性の人なのだろうとは思ってた
でもネット上の情報は偽装できると
私もなんとなくは知っていた
だから最初の指示に従うときは
一応用心して
指示されたベンチに近づく前に
たまたま寄ったふうに装って
周囲を注意深く観察した -
周りには危険そうな雰囲気はなくて
唯一、杖をついた少し気難しそうなお爺さんが
連れてきたらしい子供に手を引かれて
相手するのに疲れてるみたいだったけど
それ以外は近所の若い子や
その保護者だけにみえた
ベンチに近づいて座ったけど
特にこっちを見ている人はいない
本当にミグさんは
直接会うつもりではないらしい。
気配は感じない
それを確認して指示通り
「公園入口のベンチ」を確認した。
座る所の裏にメモが見つかり
そこに書いてあったパスワードで
事前に教えてもらってた特設ページで
次の指示を確認できた
「そこから見える範囲内のゴミ箱の蓋を見て」
ヒントは大抵、こんな感じで
対象が多過ぎたり行って色々確かめないと
具体的にはどこにどう隠してあるのか
わかりづらい時もあった -
自販機の取り出し口の中とか
電柱や噴水にハメこんであったり
木の高い所に引っかかってる風船や
遊具の下のどこかに埋められている
ガシャポンケースの中など
隠し場所は色々で
背の低い私には届きにくい場所だったり
いろいろ工夫しないと取れなかったり
男子トイレの照明のトコロなど
人がいると恥ずかしくて入りにくい場所も
たまに指示された
そして二度目の男子トイレ
清掃具置き場の中で
驚くべき指示を受けた -
人の出入りが少ないと言っても
なかなか入るタイミングはつかめず
いざ意を決して近づいても
そんな時に限って
トイレを利用しようとする人が
数人いる
困るのは数人はいった筈なのに
1人だけでて残りが
なかなか出てきてくれない時
もし入ろうとして
実は中に人がいたらどうしよう
そう思うと
なかなか勇気をだして入れない -
でもここで、いつまでつまずいても
仕方ないし…
人が残っていない事を祈りながら
私は思い切って
果敢に男子トイレに突入した
幸い、中に人は残ってない?
ドキドキして
物珍しげに隅々まで見て回る
精神的余裕はなく
おっかなびっくりしながら
今の内にと早速指示がある
清掃具置き場を探してみた
上の棚に小さな袋に入った
布袋とメモがすぐに見つかり
ホッとした私は
男子トイレの外に出てから
落ち着いて改めて中身を確認しようと
清掃具置き場から出ようと思ったら
扉が開かなくなっていた -
奥の方から
洋式便器、洋式便器、清掃具置き場
その先に手洗い、鏡と出入り口
簡易的な内壁が続くトイレ内は
通気性を配慮して
天井と各内壁の間、高い上の方に
20cmほどの隙間があるけど
背の低い私には助走もなく
その高い内壁をよじ登ってあがれるほど
低くはなかった
実質、扉が開いてくれないと
中に閉じ込められて自力で出ることも
できない
私は慌てた
男子トイレの中だから
まさか声を上げて周りに
助けを求めるわけにもいかない -
出れずに困っていると
突然、慌てたふうの男の人が駆け込んで来て
隣の個室に入ってきた
「ブゥ!ブリブリブリッ!グリョリョリョリョ!」
物凄い排泄音を響かせて隣の部屋でンコしている
臭いも酷い
私は耳をふさいでしゃがみこみ、必死に耐えた
女の子にとってこれほど耐え難い事は早々無い
アヤメもお腹を下せば、こんな日はある
しかし他人の、とくに異性の放つ
遠慮無しの排泄音と臭いを
すぐ側で聞かされるなんて!
しかも、そこから逃げられない -
「ふぅー!マッジやばかったわー!
絶対漏らすと思ったーw」
心からの安堵の声も
排泄音を聞かされた方には
嫌味にしか聞こえない
(早く出て行って!もう二度と来るな!)と
涙目になりながら滅びてしまえ!と
本気で相手に呪いをかける
まさか男性トイレの清掃具置き場に
まさかの女の子が隠れていて聞かれていたなど
微塵も考えてなかった相手にしてみれば
随分、理不尽な怒りだが
お年頃の女の子には
それはしようのない事だった -
とにかく早くここから出る方法を考えないと
あと何回こんな思いをしないといけないのか…
「コンコン!」
(え?!)
出る方法を必死で考えてたら
いきなり先ほどの爆音排泄男のいる隣の個室から
ノックされビックリして心臓が飛び跳ねた
「…」
なんですか?
とノックに返せるわけもなく
息を殺して誰もいないふりをすると
「すみません、トイレットペーパーを
とってきてもらえませんか?」
すまなそうにお願いされる
「…」
なおも無言を続けると
反対側の個室にもノックとお願いを
しているみたいだった
地下下水道合流点…
汚水が顔に常時かかる滝水の下に
太い鎖、頑丈な鉄枷で
コンクリ打ち付けの鉄杭に首、腕、腰、脚をガッチリ
逆さまに繋がれ
有刺鉄線で全身をぐるぐる巻きにされて
誘拐され繋がれた女性は苦しげに
ジャラジャラと吊られた鎖をぶつけ鳴らし
アプアプと時折できる苦しい息を繰り返しながら
来もしない助けを求め激痛と苦しみに
悲鳴を上げる
身代金が払われなければ
彼女の拘束された場所は誰にも伝えられない
身代金が払われなければ
彼女が開放され地上の美味しい空気を
胸いっぱい吸い込める日は二度とこない
この薄暗い地獄で誰にも知られず
最後の時を孤独に迎える
身代金が払われなければ…