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先方は、お見合いの日取りを「10月30日」と電話で伝えてきたに違いない。

母は、それを「月末」と勘違いして記憶した。

僕がそのまま聞かされたとしたら、お見合いという重要なイベントと事務的な「月末」という言葉のギャップを不自然に思っただろう。

しかし、母は僕に伝える前にカレンダーを見たのだろう。
月末という改変されたキーワードから10月31日に変換し、

大事な日取りを10月31日と報告した。

僕は、先方が土曜日を希望していると知っていたので、

本当に「10月31日の日曜日」を指定してきたのかと念を押した。

母は「先方が間違いなく31日と言った」としっかり答えた。
改変した記憶が完全に定着していたのだ。

仕方がない。

僕は急きょ、土曜日と日曜日の予定を入れ換え、
土曜日に遠方まで車で出掛けた。
あとのことは思い出したくもない。

その後、母が口頭で伝えるスケジュールは一切信用しないことにした。

先方からの案内状を見たり、僕が電話を入れて確認したりした。

実に3件に1件は、日時か場所に誤りがあった。

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