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とうとう同じ車間のまま、京都市内に入った。さすがに市内に入れば行く先を変えるだろうと思っていた。ところが…

「前の車、俺らと同じ方向へ行くな」
「そうね、あの車について行ったら私らの家についたりして」などと冗談を交わす。

しだいにそれが冗談ではなくなってきた。灰色のセダンの後ろについたまま、同じ町内に入ったのだ。「おい、もう家やぞ」…「あの車、うちの駐車場に入るんじゃない?」前の車を注視していると、息子が不思議そうに声をかけた。


「おとうちゃん、おかあちゃん、いつお家に帰んの?」車はエキスポランドの駐車場をぐるぐる回っていたのだ。

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