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黒のトゥデイ(乗用2ドア)がもらい事故で全損したのは2回目の車検に出そうという途上だった。(車検代が浮いた──塞翁が馬)
親父がミラを横取りしたままなので、やはり自分の車が必要となり、
今度は──間違えずに──4ナンバーの純白ミラを走行3万キロで手に入れた。
いやー、エンジンがうるさい車だった。
ただ、運転席からボンネットの地平線が視界に収まるという画期的に運転しやすい車だった。(それでもヘタクソ棒は立てた)
便利な車だったが、ついに親父が運転をリタイアし、運転者は私だけとなり、2台のミラのどちらを残すかという選択を迫られた。
たいした葛藤もなく、2ドア貨物車を選んだ。
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ついに親父が心臓で倒れ、一年の入院のあと老人ホームに移った。
私は事実上の世帯主となり、「自分専用の車」という考えが通用しなくなった。
自家用車としてセダンが要る。
なぜか、そう思った。
ベストセラーという観点で、アルトに決めた。
ワゴンRのような背の高い軽乗用車のブームが始まっていた頃だったが、
あえてオーソドックスなスタイルを選んだ。地味な濃紺も気に入った。
走行5万キロの5MT、はじめは母と、最後は一人で、毎週の買い物ドライブに、父の見舞いに使った。
(気がつけば、13年乗っていたらしい。税金が急に高くなった)
平成17年3月6日、真の一人暮らしとなり、また2ドアに戻ることにした。
デモカーあがりの、最終モデルの銀色のミラ・バン/5MT。走行3000キロ。
今度は運転席からボンネットが見えなかったから、納車前にヘタクソ棒を立てた。
なぜミラを選んだのかと言えば、
歴代ミラの故障が一回もなかったからである。
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ふと思い立って、名刺サイズのメモ帳を購入して、持ち歩いてみた。
ルポライターになったつもりで、
目についたことを細大もらさず書き留めてみようと思ったのだ。
ごちゃごちゃでわけのわからない、でも楽しいデータベースを作りたかった。
作れそうな気がした。
邪魔にならないミニミニ手帳に落書きするだけのことだ。
ネタには困るまい。
面倒なはずもない。
──ところが、書き込みのペースは落ちていくのである。
しゃれた名前の喫茶店を見つけたら、電話番号と一緒にメモしておく。それだけのこともしなくなっていき、
一週間もすると、手帳を忘れて外出しても気にならなくなった。
やはり、テーマを絞らなければ、目的がはっきりないアイデアは立ち消えとなるらしい。
そのことを学んだ、失敗企画であった。
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百円ショップでまとめ買いした3冊パックのメモ帳が引き出しに眠っている。
この封印は、相当な意志のもとに解くべし。
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