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焦る私を無視して扉の外では
今だに親父狩りを続ける人達の喧騒がやまない。
これだけ騒がしいなら
少し程度の音なら気付かれないかも…

震える身体を必死で抑えながら
清掃具の束から一本だけ
他の道具にあたって音をたてないように
慎重に持ち手が細いホウキを取り出す

壁に当たらないように
ゆっくり足元の内壁間の隙間に差し込んで
隣の個室に滑らせてしまったスマホを
手元に引き寄せられないか探ってみた

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