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「うわぁーーーっやめてくれーーーっ」
いきなり脅されていた気弱なおじさんが
ここぞとばかりに大きく吠えて
スマホの音に気を取られ隙だらけだった
怖いお兄さん達の包囲に体当りして
なんとか外に出ると一目散に逃げていく

「あ!くそ逃げられた!」
せっかく追い詰めて
あと少しで目的も達成できた獲物を
喉首噛み切る直前に逃がしてしまった獣達は
その八つ当たりを今だ音のする方向に向ける

「ドガンッ」
「んだゴラ、邪魔しやがって!!」
イライラを伝えるように力任せに開けられた扉。
だがその奥には
期待した八つ当たりする為の相手が誰もいなくて
リーダー格らしい男はキョトーンとしてしまう。

「あ、あそこ!床にスマホがありますぜ!」
「なんでホウキが床に生えてんだ???」

不自然に隣の個室から伸びるホウキは
明らかに目立って私の居場所を男達に伝え

出鼻をくじかれた男達は
今度はゆっくりと慎重に扉を開ける

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